相続税の税率は何パーセント?すぐわかる早見表と基本的な計算方法

相続税の税率と計算法

相続税の税率はどのくらいかかるのか?何パーセントくらい払うことになるのかは、相続に直面した相続人の方が必ずぶつかる不安要素です。

相続税は、相続によって取得した財産の金額で割合が変わる累進課税制度を採用しています。ただし、実際の相続税の計算では、相続した財産金額に相続税割合を直接乗じて計算するわけではありません。
相続税の税率を適用する事前、課税者それぞれの相続財産総額を確定させる計算フローが存在します。

この記事では、相続税額の算出で行われる基本的な計算の流れを、4つのステップに分けて解説していきます。はじめての遺産相続で、相続税の支払いに不安がある方にわかりやすく説明していきますので、参考にしてください。

相続税の税率(早見表)

すでに冒頭でも触れていますが、相続税の税率は数ある税の中でも高く設定されています。
具体的には以下のような税率になっています。

法定相続分に応ずる取得額 税率 控除額
1000万円以下 10% 0円
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

上記が相続税の税率です。

所得税・贈与税などと同様に、相続によって取得した財産が高額であればあるほど、税率が高くなる累進課税の仕組みになっています。
相続税の最高税率 55%(遺産相続評価額6億円超の場合)は世界的に見ても高額な税率です。

この表だけを見ると、相続するとやはり高い税金を納めなければならないと考えてしまうのも無理はありません。

相続税の計算は4段階

しかし、上記の表を用いるのは相続税算出の最終段階です。
相続税額の計算というのは、相続人それぞれが実際に得た財産に直接上記の税率を乗じることで算出するわけではありません。

相続税額を求めるためには、まず「法定相続分に応ずる取得額」を確定させる必要があります。
そのため、相続税の金額は、全体で4段階の計算を経て、算出を行っていきます。

上記の数字は最後の段階で使用することになるため、以下をすべて確認してから、再度この税率表に戻ってこられるように順を追ってご説明していきます。

相続税の計算~税率適用までの4つのステップ

それでは、実際の相続税の計算方法について全体のフローは以下の通りです。

  1. 正味の相続財産の計算(遺産の総額を求める)
  2. 相続税の基礎控除額の計算
  3. 相続人それぞれの相続税額を計算
  4. 相続税の税率表に当てはめて算出する

正味の相続財産の計算(遺産の総額を求める)

相続税を求める第1段階として、まずは正味の相続財産を求めます。

正味の相続財産とは、簡単にいえば遺産総額のことです。
相続における遺産総額とは、土地や建物といった不動産、預貯金や現金といったプラスの財産の中から、借金や未払金といったマイナスの財産を差し引いた金額になります。

これが相続税を算出する上での最初の計算になります。

正味の相続財産を求めよう

たとえば、預貯金が1000万円あっても借金が500万円あれば、正味の相続財産は500万円ということになります。
相続税を計算するのであれば、プラスとマイナスの相続財産、両方を正確に把握しておく必要があるのです。

もう少し現実的な数字にしてみると、土地建物の総額が8000万円、預貯金が5000万円、現金が2000万円、借金が400万円、葬儀費用が200万円となれば、以下のような計算式が成り立ちます。

プラス財産(8000万円+5000万円+2000万円)―マイナス財産(400万円+200万円)=正味の相続財産(1億4400万円)

実際は「小規模宅地等の特例」といった相続税の減税措置についても加味する必要がある点に注意です。
個人宅の相続で小規模宅地等の特例が適用となれば、土地建物の評価額は最大で80%減額されます。
評価額が下がれば、当然プラス財産の総額も下がります。

そして、この正味の相続財産から以下で説明する相続税の基礎控除額を差し引き、超えた金額が相続税の課税対象になります。

相続税の基礎控除額の計算

相続税の基礎控除額は、平成27年1月から(この日付より前の相続の場合は基礎控除額が異なるため注意)「3000万円+法定相続人の数×600万円」と定められました。

つまり、上記の正味の相続財産からこの基礎控除額を差し引いて、それでも残った部分については相続税が課税されるというわけです。

基礎控除額を差し引いてみよう

では、実際に基礎控除額を差し引いてみましょう。
上記で使用した例をそのまま使うとして、正味の相続財産は1億4400万円です。

今回は、相続人が4人いたと仮定すると、下記のような計算式になります。

正味の相続財産(1億4400万円)-基礎控除額(3000万円+4×600万円=5400万円)=相続税の課税対象額(9000万円)

基礎控除額を上回らなければ非課税

上記の例では最終的に相続税の課税対象額は9000万円となりましたが、基礎控除額より正味の相続財産が下回る場合は相続税が課税されることはありません。

つまり、正味の相続財産が5400万円以下であれば、この時点で相続税は心配する必要がないということ。相続税はよほど財産がない限り、必ず課税されてしまう性質の税金ではないということがよく理解できたのではないでしょうか?

それぞれの相続税額を計算

それでは相続税額算出の最終段階として、それぞれの相続税額を計算してみましょう。

法定相続分で按分する

法定相続では、被相続人との関係によってどの程度の財産を相続できるか定めています。
今回は、亡くなった方をAさんとして、Aさんの妻Bさん、Aさんの長男Cさん、Aさんの長女Dさん、Aさんの次男Eさんが相続人だった場合の計算を見ていきましょう。

今までの計算による設定を引き継ぎ、相続税の課税対象額は9000万円とします。

今回の場合、法定相続分は配偶者が2分の1、子どもがそれぞれ6分の1ずつです。
よって、9000万円を法定相続分で按分すると、Bさんが4500万(2分の1を)、Cさん、Dさん、Eさんがそれぞれ1500万円を相続(それぞれ6分の1ずつ)となります。

相続税の税率表に当てはめて算出する

ここまで数字が出そろって、はじめて最初に説明した相続税の税率表が登場します。
それでは、相続人それぞれの相続税額を表に当てはめて算出してみましょう。

Bさん(妻)4500万円×20%(税率)-200万円(控除額)=700万円
Cさん、Dさん、Eさん(子ども)1500万円×15%(税率)-50万円=175万円

相続税の税額控除も忘れずに

このように、相続税は4段階の計算によって正確な金額が算出されます。

しかし、ここで絶対に忘れてはならないのが相続税の税額控除についてです。

実は相続税には一定の条件を満たした場合に基礎控除額以上に税額が控除されます。たとえば、配偶者の場合は「配偶者控除」といって、取得した相続財産の総額が1億6000万円に満たなければ相続税は課税されないといった決まりがあります。

税額控除で相続税が0円に

上記の例だけで見ればAさんの配偶者であるBさんは700万円を課税されることになりますが、配偶者控除を利用すれば相続税は0円となるのです。

税額控除には配偶者控除の他に、未成年者控除や障害者控除といったものがあります。もし、相続税が課税されそうな場合は、こうした税額控除を利用してください。

相続税の税率・税額は対策で下げられる

なお、相続税の課税額を抑えるには、税額控除以外にも有効な方法が存在します。
生前から相続税対策を用いることで、税額控除が利用できない場合も相続税を0円にすることも可能です。

たとえば、正味の相続財産を減らすことができれば、相続税の基礎控除額内に収めることが可能となります。
また、配偶者控除を大いに活用するため、遺言にて配偶者の相続分をあらかじめ多く指定しておくのも手です。

相続税は適法なやり方で様々な工夫をすることで、大きく課税額を減らすことのできる、税金対策を行う価値のある税金なのです。

まとめ

今回は相続税の税率と、実際の相続税金額の計算方法をご紹介しました。
ただし、実際にはいざ相続という一大事に直面して何から手をつけて良いかわからない、生前から相続税対策の話題など出せない、といったお悩みをお持ちの方が多いのではないでしょうか?

相続に関してお悩みの場合は、まず弁護士などの相続の専門家に相談されることをおすすめいたします。

専門家であれば、現時点で相続税がかかる恐れがあるのか?相続税がかかるのであれば、相続税対策によって非課税に抑えることはできないのか?といったアドバイスをもらうことができます。

相続というのはその性質上、100のご家庭があれば100のパターンで、どうしてもケースバイケースな悩みが存在するものです。
自分のケースに最適な相続を実現するためにも、様々な点から総合的に判断できる専門家への相談がおすすめです。

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