相続開始日とは被相続人が亡くなった日|各手続きの期限について解説

相続開始

被相続人が亡くなると、通夜や葬儀だけでなく役所への手続や遺産相続に追われる慌ただしい日々が続きます。相続の開始から期限が定められている事項もあるため、必要な手続とその手順をしっかり把握しておくことが大切です。特に相続税の申告と納付は期限を過ぎると延滞税が課せられるので注意しましょう。

被相続人が亡くなった日が相続開始日になる

家族が亡くなると悲しみの中で通夜、告別式等の儀式や死亡届の提出等の手続をしていかなくてはなりません。そのうちのひとつである遺産相続は被相続人が亡くなった日から開始されます。

相続の開始とともに各手続きの期限も決まる

相続は、人が亡くなったその瞬間から始まります。通夜や葬儀、役所での各種手続き等で慌ただしい日々となりますが、遺産相続についてもしっかり進めていきましょう。

相続が開始されるのは被相続人が死亡した瞬間から

被相続人が亡くなった日を基準に、死亡届の提出や相続税申告の期限が決まります。親しい人への連絡や葬儀等で慌ただしいですが、各種手続きの期限はきちんと把握しておくようにしてください。

死亡届の提出や各種公的手続きも

被相続人が死亡したら、7日以内に臨終を確認した医師による死亡診断書を添えて市町村役場に死亡届を提出します。死亡届を出すと火葬許可証が交付されます。通夜や葬儀を終えたら健康保険証の返却や年金受給停止手続等を行います。

所得税の準確定申告

被相続人が自営業や個人事業主だった場合には、相続開始から4か月以内に所得税の準確定申告を行わなければなりません。この準確定申告では相続人全員が納税者となり、その年の1月1日から死亡日までの納税分について1通の準確定申告書を作成し、相続人全員が連署した上で提出することになります。

相続をするかしないか

相続人は、被相続人の遺産を相続するかどうかを選択することができます。プラスの財産よりもマイナスが大きい場合には相続を放棄することも可能です。

単純承認

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も全てを無条件で受け継ぐことを「単純承認」といいます。相続の開始後、相続人による手続が何もなされない場合には単純承認を選択したとみなされます。

限定承認

相続財産がどのくらいあるのか把握できない場合や負債は受け継ぎたくないという場合には「限定承認」を選ぶことが可能です。限定承認ではマイナスの財産をプラスの財産で返済し、財産が余った場合には相続できます。マイナスの財産がプラスを上回る場合には返済の必要はありません。相続放棄と同様に相続開始から3か月以内に家庭裁判所に申し立てをします。

相続放棄は3か月以内に申し立てる

遺産は、不動産や金融資産等のプラスの財産ばかりとは限りません。遺産相続により、相続人はローンや債務等のマイナスの財産も受け継ぐことになります。マイナスの財産が大きい場合には相続人は相続を放棄することもでき、相続開始後3か月以内に家庭裁判所に「相続放棄」を申し立てます。

相続人を確定する

遺産を分割するには相続人の確定をしなければなりません。相続人になれる人は民法で決められていますが、確定するためには被相続人の戸籍を調べる必要があります。

法定相続人は誰?

法定相続人になれるのは被相続人の配偶者である「配偶者相続人」と被相続人の子や孫、父母、兄弟姉妹等の「血族相続人」です。ただし、被相続人が遺言書の中で、法定相続人以外の人物に遺産の一部を譲渡したい旨を記していたときは、法定相続人以外にも相続人が出現する可能性があります。

被相続人の戸籍を調べる

家族が知らなくても被相続人が養子縁組をしていたり、認知している子が存在するケースもあります。そのため、相続人の確定には被相続人の出生から死亡までの戸籍を全て調査しなくてはなりません。はじめに被相続人の死亡の記載のある本籍地で戸籍謄本を取得します。その戸籍謄本からひとつ前の戸籍を調べ、順番に取得していくと出生の記載のある戸籍に到達し、相続人の確定ができます。

相続開始日が確定したら財産の調査と遺言書の確認を行う

遺産相続で遺言書が遺されている場合、原則としてその内容が法定相続よりも優先することが決められています。相続人の確認と共に、財産の調査や遺言書の有無についても調べていきましょう。

財産調査をして財産目録を作成しておこう

遺産相続には被相続人の財産調査が不可欠です。相続放棄や限定承認は相続開始後3か月以内に決定しなければならないため、なるべく速やかに調査を進めるようにしましょう。

財産調査はなるべく速やかに

遺産には、不動産や金融資産等のプラスの財産のほかにローンやキャッシング等の負の財産がある可能性もあります。マイナスの財産が多い場合は相続放棄や限定承認という方法を選ぶことができますが、どちらも相続開始後3か月以内に家庭裁判所に申し立てなければならないため、なるべく速やかに財産調査をすることが大切です。

財産目録を作る

被相続人の財産調査が完了したら財産目録を作成しておくことをおすすめします。財産目録は遺産分割協議の資料や相続税を計算する際の基準として活用できるほか、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いかを把握する材料にもなるため、相続放棄や限定承認を選択する目安としても使用できます。

専門家遺産相続に強い弁護士などのに依頼を

財産調査は手間や時間のかかる作業です。相続放棄や限定承認は相続開始後3か月以内に申立てなければならないので、時間の猶予がありません。そのため、遺産相続に強い司法書士や弁護士等の専門家に調査を依頼するほうがスムーズです。

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遺言書がある場合・ない場合とで手続きはどう違う?

被相続人による遺言書の有無で、相続人や相続分が大きく変わる可能性が出てくると共に手続きの流れも異なります。被相続人の死亡後、速やかに遺言の有無を確認しましょう。

遺言書がある場合:検認を受けて執行する

遺言が見つかったら、なるべく速やかに家庭裁判所に検認を申し立てます。検認とはその遺言が確かに存在していることと被相続人によって作成されたものであることを確認するために行う手続です。検認が完了したら遺言執行者により遺言が執行されます。

遺言書がない場合:遺産分割協議を行う

遺言がない場合には、相続人による遺産分割協議を行います。民法で定められた法定相続分を目安に遺産分割について話し合いますが、相続人全員の合意がない限り協議は成立しません。遺産分割協議は相続人全員の出席が必須であり、相続人が未成年者や認知症である場合には代理人を立てる必要があります。

遺産分割協議書を作成しよう

遺言による指定分割の場合も遺産分割協議による分割の場合も、相続人の相続分を明確に示す遺産分割協議書を作成しておくようにしましょう。分割内容を具体的に記載することでその後のトラブルを防ぐことができます。相続人全員で遺産分割協議書の内容を確認し押印すれば確実です。

遺産分割が確定したら財産の名義変更を行う

遺産分割が確定したら不動産等の財産の名義変更を済ませましょう。相続税がかかる場合には、相続開始後10か月以内に申告と納付をする必要があります。

財産の登記・名義変更を行う

指定分割や遺産分割協議等により相続分が確定したら、なるべく速やかに各財産の登記や名義変更手続を行いましょう。名義変更をしないでいると、財産を売却したい時などにトラブルのもとになります。

遺産分割後は速やかに名義変更を

各相続人が相続する財産が決まったら、なるべく早く名義変更手続きをすることをおすすめします。特に土地や建物等の不動産は「相続による所有権移転登記」をしておきましょう。登記簿に記載されている所有者以外は、不動産の売却や担保の設定ができません。

遺産分割が確定していなくても登記は可能

遺産分割協議がなかなかまとまらず、時間がかかってしまうケースもあるでしょう。そのような場合には法定相続分を基準に相続人全員による財産として登記しておくことが可能です。遺産分割協議の成立後、決定した相続分に応じて持分移転登記を行います。

相続税の申告と納付は遅れずにしよう

相続する遺産の総額が基礎控除を超えている場合には、相続税を支払う必要があります。相続税の計算は複雑で難しいので、相続開始後できるだけ早く着手するのがおすすめです。

申告と納付の期限は相続開始後10か月以内

申告書は被相続人の亡くなった日の翌日から10か月以内に提出しますが、死亡を知らなかった場合には知った日の翌日から10か月以内となります。納付期限も申告と同様、相続の開始を知った翌日から10か月以内です。

期限に遅れると…

納付期限を過ぎても相続税が納められない場合には、延滞税を支払わなくてはなりません。さらに相続税には連帯納付の義務があるため、滞納している相続人がいると他の相続人にも請求がいくことになります。

専門家に依頼を

被相続人の死後は、葬儀や四十九日法要をはじめ準確定申告等の手続や遺産分割協議等で月日があっという間に過ぎてしまいます。財産調査や相続税の計算は専門家に依頼して、期限内にしっかり相続税の申告と納付を済ませるようにしましょう。

家族が亡くなると、期限が定められた様々な手続に追われる日々が続きます。専門家に相談しながらスムーズに遺産相続手続を進めてくださいね。

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